飲食店の開業ステップ③
資金計画と見積もりの考え方
― 相見積のコツ・費用目安・失敗しない進め方 ―
物件が見つかったら次は「お金の設計」と「見積もり精査」。
初期投資(内装・厨房・設備)と運転資金、相見積の取り方、価格を抑える工夫まで実務目線でまとめました。
1. まず「資金計画」は 初期投資+運転資金+予備費 の三層で考える
初期投資(CAPEX)
- 内装工事費:スケルトン/居抜き、面積、仕様で大きく変動
- 厨房機器・什器:新規/中古、リース併用可
- 設計・管理費:図面、監理費、申請費
- 保証金・仲介料:家賃の6〜12か月が目安のことも
- 各種申請費:保健所・消防・看板申請 等
運転資金(OPEX)+予備費
- 運転資金:家賃・水光熱・人件費・仕入・広告費
- 予備費:不測の追加工事、納期ズレ、在庫初期ロス等。
目安:総投資額の10〜15%
ポイント:開業直後は売上が安定しないため、最低でも3か月分の運転資金+予備費を確保すると安全です。
2. 初期費用の内訳と大まかなレンジ感
内装工事
目安:50万〜500万円超
造作/床壁天井/電気・給排水・ガス/換気/防水/消防/看板など。
仕様次第で大きく変わります。
厨房・設備
目安:50万〜1,000万円
熱調理機器、冷機器、食洗、配膳棚、POS、空調など。
新品/中古/リースの組み合わせが鍵。
その他初期費
目安:家賃×6〜12か月
保証金や礼金、仲介手数料、広告費、採用教育、開業前仕入れ等。
※上記は一般的なレンジ。面積・業態・物件状態で前後します。
3. 見積書の正しい読み方(どこを見る?)
- スコープ:「どこまでやるか」が明確か(養生/搬入出/産廃/清掃/諸経費)
- 仕様と数量:品番/グレード/数量根拠。曖昧な“一式”の内訳を確認
- 仮設・諸経費:現場管理費、安全経費、運搬費の根拠
- 工期と条件:夜間・休日割増、入退去条件、停電/断水手配
- 保証/保守:保証範囲・期間、瑕疵対応のフロー
4. 相見積もりの取り方と比較軸
同条件で依頼(RFP化)
- 図面・寸法・現況写真・インフラ容量(電気/ガス/水)を共有
- 仕上げ仕様(床材/壁天井/厨房機器リスト/換気・給排水)を明記
- 希望工期・夜間可否・予算レンジ・支給材の有無を記載
- 質疑応答の期限を設定(メールで一括回答)
- 比較表で「スコープ/仕様/工期/保証/総額」を並べる
値段を下げる実務テク
- 仕様の見直し:床材/天井材/照明器具を代替グレードで再見積
- 工期・時間の調整:夜間/休日を減らし人工コスト抑制
- 支給材の活用:既存機器流用、中古活用、間に合わせ→後日更新
- 工程の一体発注:複数業者→元請一括で仮設・搬入効率化
- 補助金/リース:資金繰り改善。キャッシュアウト平準化
5. 融資・資金手当の選択肢(概要)
- 自己資金+公的融資:日本政策金融公庫、制度融資 等
- リース/割賦:厨房・空調はリース併用で初期負担を平準化
- 補助金・助成:タイミングと要件を確認(事前申請が必須の制度も)
※具体的な制度の可否は自治体・時期で変わります。最新要件は事前確認を。
6. あるあるな落とし穴と予防策
- 追加工事連発:事前調査が浅い/仕様の齟齬 → 現調+仕様確定+写真共有
- 電気容量不足:主幹容量/回路不足 → 負荷計算と幹線・分岐計画
- 給排水・換気の詰まり:配管経路/勾配/ダクトルートの事前確認
- 近隣クレーム:騒音・臭気・深夜搬入 → 事前周知+工法/時間帯の最適化
7. 見積り依頼チェックリスト(コピペ可)
- 物件図面(寸法入り)/現況写真一式(天井裏・床下・排気/給気)
- 厨房機器リスト(品番/電源容量/給排水/ガス/ダクト条件)
- 仕上げ仕様(床/壁/天井/照明/空調)
- 工期希望+夜間/休日可否、搬入ルート・養生条件
- 支給材の範囲、既存撤去の有無、産廃・清掃・調整運転の有無
- 見積提出期限・質疑締切・支払い条件・保証条件


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